小間 克敏

『一体自分は誰なのか』社会・家族・病を越えて、自分を取り戻す哲学と再生の記録
「私はいったい誰なのか」—— 。
この根源的な問いは、人生のある瞬間に誰もが立ち止まり、心の奥から響いてくるものです。本書『一体自分は誰なのか』は、その問いを
著者自身の人生の歩みとともに徹底的に掘り下げた、哲学的かつ自伝的な記録です。
著者は、社会の中で与えられる役割や肩書きに自分を押し込められ、家族という名の共同体の中で「長男」という立場に縛られ、やがて心身を病んで「うつ病」と向き合わざるを得なくなりました。
そうした苦しみと喪失の経験を通じて、彼は「役割」でも「病気」でも定義できない“本当の私”とは何かを探り続けます。
単なる哲学書でもなく、単なる自伝でもない。科学と思想、個人史と社会批評を交差させながら、「私とは誰か」という普遍の問いを
一貫して追求する本書は、読む者自身に深い内省を促します。
これは一人の著者の体験を超え、誰もが抱く「私」という謎に光を当てる物語です。社会の規範や家族の期待に揺れながらも、自分という存在の意味を見出そうとするすべての人にとって、小さな指針となるでしょう。